十分な水がない、 トイレがない、 石けんがない……。避難を強いられている人々が直面している現実です。

世界中で紛争や迫害により故郷を追われた人々の総数が2024年末時点で1億2320万人にのぼり、過去最多になりました。多くの人々が大変厳しい状況に直面しているなか、決して欠くことのできない支援のひとつが水と衛生の支援です。

難民となった人々の保護や医療、健康、回復する力。
水と衛生の支援は、この全体に寄与するものです。

砂漠の中の水場

朝から、ずっと水を待っています。

スーダンからチャドへ逃れたカミッドさん

その日は朝、水が出ませんでした。
水を待つ人の列は、ときには100メートル以上になることもあります。
安全な水や衛生サービスへのアクセスが限られた過酷な環境で生活している難民となった人々にとって、水と衛生の支援は、まさに命を守る支援です。

水や衛生サービスへのアクセスが限られた過酷な環境で暮らす難民となった多くの人々にとって、必要なのは飲み水だけではありません。

水を運ぶ難民の子どもたち

【2024年チャド】 避難先で洪水に見舞われた子どもたち。チャドを含む西部・中部アフリカ地域で洪水が発生し、490万人以上に深刻な影響が及んだ

たとえば、難民キャンプにトイレがなければ水源はすぐに汚染されてしまいます。
石けんや衛生用品がなければ、病気はコミュニティ内で簡単に拡大します。
安全な水が手に入らなければ、女性や少女たちは長い距離を歩いて清潔な水を探しに行かなければならないケースも多く、性的暴力を受けるリスクにもつながりやすくなります。
また難民や国内避難民の多くは気候変動の影響をもっとも受けやすい地域に住んでいます。水不足や水質汚染だけでなく、洪水、干ばつ、厳しい気候によって引き起こされた水/衛生設備の損傷など、気候変動による深刻な影響を被っています。
UNHCRは紛争や迫害により避難を余儀なくされている人々が水と衛生サービスにアクセスできるよう、幅広い支援を実施しています。

UNHCRの水と衛生の支援例

清潔な水
● 清潔な水へのアクセス
● 既存の水道システムインフラの強化または改良
● 井戸の掘削 など

公衆衛生設備
● 公衆衛生システムの改善
● 廃棄物処理システムの改善(または新たなシステムの構築) など

衛生サービス
● 石けんや衛生用品を入手できるようにすること
● 地域の衛生促進活動に難民を含めること
(特にコレラや赤痢などの水を介した感染症の流行時) など

いま、どのような水と衛生の支援が必要とされているのか。

2023年4月、スーダンのハルツームでスーダン軍と準軍事組織「即応支援部隊」の武力衝突が発生し、戦闘は急速に国内各地へと拡大。戦闘の開始から2年以上が経過したいまも著しい状況改善の兆しはなく、市民への攻撃や暴力が続き、多くの人々が国内外に避難を余儀なくされています。豪雨や洪水、コレラなどの疾病の流行、深刻な食料不安に加え、戦闘によりアクセスができず支援を届けることが難しい地域もあり、スーダンの人道状況はさらに悪化し支援を必要とする人が増え続けています。

UNHCRが世界各地の難民支援の現場で実施している多岐にわたる水と衛生の支援の一例として、人道危機が続くスーダンと周辺国の直近の状況に焦点を当て、現地で実施している水と衛生の支援とニーズをお伝えします。

スーダン難民の子どもたち
【チャド・東部アドレ】スーダンから逃れ、チャドの国境に到着した子どもたち

人道危機が続き、いまも多くの人が避難を強いられているスーダンとその周辺国では……

スーダンから周辺国に逃れてきた人々 402万人超 数の推移のグラフ

2023年4月スーダンで勃発した武力衝突は、日本でも邦人の退避に焦点をあてながら広く報道されていましたが、同国ではいまも戦闘が続いており、世界最大級の人道危機となっています。武力衝突の開始以降、国内で避難を余儀なくされているスーダンの人々は約770万人*。スーダンに身を寄せていた難民も多くが国内の別の地域に移ることを余儀なくされているほか、状況の不安定な母国に戻らざるを得ない状況に追い込まれている人々も増え続けています。スーダンから近隣の国々に逃れた人の数は400万人以上*にのぼり、かねてから多くの難民や国内避難民を受け入れてきたこの地域支援のニーズは膨れあがっています。*6月16日時点

水と衛生関連のニーズが増大

水に関連した支援は食料やシェルターなどと並び、国内外で緊急のニーズのひとつになっています。スーダン国内だけでも水と衛生の支援を必要としている人々は2550万人にのぼり、関連システムは限界に達しています。周辺国に逃れてくる人々は後を絶たず、資源に限りのある受け入れ各国は窮地に立たされています。

国内外の水と衛生の支援と課題
2025年上半期の現地情報から

スーダン周辺国地図

スーダン国内

白ナイル州 2月にコスティでコレラの流行が始まって以来、UNHCRは保健省と州の水道公社へのサポートを強化。同地のコレラ治療センターのためのテント、燃料、車両2台のほか、石けん1000個、手洗い場6か所などを支援。またパートナー団体とともに国内避難民の避難拠点でコレラ予防啓発セッションを実施。

医療支援の様子

昨年カッサラ州でコレラが流行した時も、UNHCRは保健医療パートナーと連携し医療従事者のトレーニングや症例の調査、キャンプ内の隔離スペースの準備などにあたった

青ナイル州 WHO(世界保健機関)は2024年11月以降、州内で290人のコレラ患者が発生したことを報告(3月時点)。感染者は隣接するセンナ―ル州から逃れてきた人々の中で確認されており、原因は水と衛生関連施設の不足と考えられています。青ナイル州にはUNHCRのパートナー団体が給水車を通じて飲料水を提供している難民キャンプがあります。また、キャンプの近くに逃れてきたスーダン人約2000人もこの給水の恩恵を受けており、水の需要は増加しています。

ソーラー発電式井戸
以前UNHCRとパートナー団体がファルチャナに作ったソーラー発電式の井戸

チャド

UNHCRが資金を提供したプロジェクトにより、Abougoudam郡でソーラー発電式の井戸が稼働しはじめ、400人以上のスーダン難民と受け入れコミュニティに水を提供。

リビア

難民が流入し続け、水と衛生、医療分野などで支援のニーズが高まっているリビア東部。UNHCRは年初にクフラ県で廃棄物の処理をサポートするため、自治体に75個のゴミ用コンテナを提供しました。

エジプト

2024年、UNHCRはエジプトに逃れてくる人々のために、飲料水40万本、衛生キット4万5000個、生理用品1万8000個を国境地点に届けました。

多くの人がつめかけるレンク
多くの人がつめかけている南スーダン・レンク

南スーダン

スーダンから多くの人々が引き続き逃れてきており、その数は100万人以上に。一時滞在施設や受け入れ地域は過密状態にあり、水と衛生、シェルター、医療分野の課題を悪化させています。

エチオピア

ベニシャングル・グムズ州でUNHCRのパートナー団体が給水所を増設し、1日の平均的な水の配給量が緊急時の基準である1人15リットルに。

中央アフリカへ逃れた人々
スーダンから中央アフリカへ逃れてきた人々

中央アフリカ共和国

1日の給水量が人道支援の最低基準を下回っている現地の状況を改善するため、パートナー団体と協力して壊れた井戸の修理にあたりました。

ウガンダ

保健疫学省、WHO、UNHCR、地域の保健チーム、パートナー団体からなる合同チームは、進行中の支援活動の調査のためにコレラ対応が続くキリャンドンゴ県の居住地へ向かい、コレラ対応チームを訪問。ケースマネジメント、水と衛生関連の対応、サーベイランス(感染症の動向を継続的に注視すること)などが進んではいるものの、水とトイレが依然として足りておらず、さらなる対応が実施されています。

地図上の境界線や記号はあくまでも参考であり、国連の見解や許諾を示すものではありません

窮地に立たされてなお洪水の影響を受ける人々に、水と衛生の支援を。
地域で脅威を増す豪雨や洪水の影響を受ける人々に、UNHCRは幅広い支援を届けています。

洪水により孤立した集落
【2023年、南スーダン・ユニティ州】 度重なる洪水により孤立した集落

南スーダンで最大の被害
エルニーニョにより引き起こされた豪雨と大洪水

降水被害に遭ったキャンプ
【スーダン・カッサラ州】 ぬかるみの中を歩きながら少ない所持品を運ぶ人々。UNHCRは洪水の影響を受けた人々にシェルター支援を実施

昨年豪雨と洪水が東アフリカと大湖地域を襲い、スーダンや南スーダン、エチオピア、ブルンジ、ルワンダ、ソマリアなどで壊滅的な被害が発生。各地に身を寄せる難民や国内避難民をはじめ、370万人に甚大な影響をおよぼしました。もっとも大きな被害を受た南スーダンでは130万人に影響がおよび、スーダン難民や帰還民を受け入れている地域を含む各地で、新たに32万7000人が避難を強いられました。

人々の回復力を強化し、この先発生しうる水害を最小限に抑えるため、UNHCRは堤防の建設や大規模な排水路を設置するなど、南スーダンでインフラプロジェクトに投資しました。スーダンでは66万8000人に安全な水を提供。また、水と衛生関連施設の改善により、58万4000人がその恩恵を受けました。

避難先で洪水に遭った人々の声 - 近年地域で頻発している洪水被害について

アワドさん

「水かさは私の腰あたりまでありました」

スーダン難民のアワドさん(2019年の南スーダンの大洪水について)

5日間家にいました。ようやく畑に来てみると、全体が水につかっていました。 水かさは私の腰あたりまでありました。

アシュラフさん

「テントの下はすべて水浸しになりました」

国内避難民のアシュラフさん(昨年のスーダンの洪水被害について)

私たちが着いたその日に、雨が激しく降りました。影響は相当なものでした。これは戦争に続く、ふたつ目の苦しみでした。

マルワさん

「私たちはすべてを失いました」

国内避難民のマルワさん(昨年のスーダンの洪水被害について)

寝ている間に学校が浸水し、目が覚めると水浸しになっていました。車も水没し、私たちはすべてを失いました。

スーダン国内でも周辺国でも膨れ上がる難民や国内避難民の数に対して水と衛生の支援が圧倒的に足りていません。1人あたり1日に必要な最低限の水の量が確保できていない地域もあり、避難を余儀なくされている人々や受け入れコミュニティの人々は大変苦しい生活を強いられています。さらに2025年、UNHCRは各国の人道支援資金の大幅な削減の影響を受けており、世界中の難民、国内避難民の命を守る援助活動の継続が危ぶまれる事態に直面しています。どうぞご支援をご検討いただけますよう、心よりお願い申し上げます。

水と衛生の支援は、世界各地で難民や国内避難民を守っています。

2024年に各地で実施した幅広い支援の中から、水と衛生の支援を中心にお伝えします。

チャドのコミュニティ
水の侵入を土嚢で防ごうとしていたチャドのコミュニティ

西部・中部アフリカ地域
(チャド、ニジェール、ナイジェリア、カメルーン、マリ)

集中豪雨による洪水で490万人以上に深刻な被害が発生

この洪水により大きな被害を受けたのは、難民を多く受け入れ、自国にも避難を強いられている人々を多数抱えている国々でした。
UNHCRは包括的なリスク評価を通じて重大な保護リスクを特定し、洪水の影響を受けたもっとも脆弱な避難世帯を優先的に支援。援助物資やシェルター、水と衛生、保護サービスを含む支援を提供。13万6000人以上が現金の給付支援を受け、支援のほとんどがシェルターとトイレの修理に充てられました。また、洪水を食い止める堤防や排水システムなど、コミュニティの水関連インフラの建設と復旧にも尽力。

医療従事者
隔離センターで、患者からサンプルを採取する医療従事者

コンゴ民主共和国と周辺国

エムポックスが流行し20の難民受け入れ国に波及

昨年8月14日、WHOはコンゴ民主共和国および近隣諸国におけるエムポックスの流行拡大を受け「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。UNHCRは各国保健当局とWHOの指導の下、難民支援の現場で保健医療活動を国レベルおよび地域レベルで主導。新型コロナやエボラ出血熱など、過去の緊急事態における経験を生かしてエムポックスの拡大を抑え、確認された症例の影響を軽減するために、水と衛生、保健医療、保護、シェルターの各部門にわたる重要な対策を迅速に行いました。

ドニプロの宿泊施設

ウクライナ

国内避難民の宿泊施設を改築

ドニプロ市内に新たに改築した一時宿泊施設が開設。UNHCRは上下水道や暖房システムの修理、部屋の改装など、施設の大規模な改修を行い約100人の国内避難民の生活環境の改善につながりました。

ロヒンギャ難民の救助
ロヒンギャ難民の受け入れをサポートする職員

インドネシア

危険な海を渡って逃れてきた人々を守る支援を継続

UNHCRは南アチェや東アチェ、北スマトラにボートで到着したロヒンギャ難民の保護対応を継続して主導。難破しそうな船からの下船許可を地元当局に働きかけ、難民認定などを行ったほか、パートナー団体とともに水と衛生サービスへのアクセス、食料や救援物資の提供など、受け入れ場所での支援に奔走しました。

難民や国内避難民の命を守るUNHCRの活動にお力添えをいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

難民となった人々の保護や医療、健康、回復する力。水と衛生の支援は、この全体に寄与するものです。
難民や国内避難民を守るUNHCRの活動にお力添えをいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、 難民の命を守り、保護する機関です。
緒方貞子さんとルワンダ難民
ルワンダ難民を訪問する緒方元高等弁務官
UNHCRは、シリア・アフガニスタン・ウクライナなど世界中で家を追われた難民・国内避難民を支援・保護し、水や食料、毛布などの物資の配布や、難民キャンプなど避難場所の提供、保護者を失った子どもの心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991年から10年間、緒方貞子さんが日本人として初めてUNHCRのトップである国連難民高等弁務官を務めました。 
※紛争や迫害などのため命の危険があり、国外へ逃れた人を「難民」、国内で避難している人を「国内避難民」と呼びます。

あなたのご支援でできること

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食事を摂る少女
毎月5,000円のご寄付
難民の命と生活を守る清潔な水(10か月分) 約2人分
毎月3,000円のご寄付

感染症予防等、衛生管理に欠かせない石けん 約96人分

毎月1,500円のご寄付

清潔な水を確保するための給水容器 約47個分

※1年続けていただいた場合、1ドル=149円換算
※支援を行う国・地域や情勢により物価は変動するため、上記の金額は目安です。
皆様からのご支援は、医療や衛生支援を含む資金を最も必要とするプロジェクトに活用させていただきます。

  • 当協会へのご寄付は、寄付金控除(税制上の優遇措置)になります。お送りする領収証は確定申告にご利用いただけます。
  • ご支援者の皆様にはメールニュース、活動報告等を送らせていただき、難民支援の「今」、そしてUNHCRの活動を報告させていただきます。
  • Webでご寄付いただく際の皆様の個人情報はSSL暗号化通信により守られております
皆様からのご寄付によって 多くの命が助かります。
水・食糧の供給から住居、医療、教育まで、長期的に難民を 支えるには、毎月のご支援が欠かせません。ぜひ、ご検討ください。

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