コンゴ民主共和国東部で何が起こっているのか?
コンゴ民主共和国東部での激しい戦闘により、国内避難民のみならず多くの民間人が犠牲となり、新たな避難を強いられています
公開日 : 2025-02-13
1.情勢:コンゴ民主共和国東部で何が起こっている?
1月下旬、コンゴ民主共和国東部にて、ルワンダが支援する非政府武装組織M23(Mouvement du 23-Mars: 3月23日運動)と政府軍と間で戦闘が激化、今年だけで88万人以上の難民・庇護希望者が新たに国外へ避難を強いられています。すでに国内避難民460万人が暮らす北キヴ/南キヴ州の治安は著しく悪化しており、反政府勢力と間違われた国内避難民に対する恣意的な逮捕、略奪、殺人、誘拐といった人権侵害も拡大しています。
無差別な爆撃は民間人や民間のインフラ、そして長年の情勢不安で避難を強いられている国内避難民が暮らすサイトにも及んでおり、1月20日には避難サイトで2人の子どもの命が奪われ、21日には仮設シェルター5か所が破壊されました。加えて、東部最大の都市ゴマ郊外にある国内避難民30万人以上を受け入れていた避難サイトのいくつかは、数時間のうちに完全に誰もいなくなった、という報告もあります。
「これはまさに、人々の動きの始まりです。だから警戒を怠らず、監視を続け、必要に応じてサポートする必要があります。著しく不安定で、コンゴ側で何が起こるかもわからないのです。今日は静かですが、平和が続くことを願っています。しかし、申し上げたように、私たちは非常に用心深く、必要に応じて対応できるように準備しなければなりません。」
コンゴ民主共和国から逃れる人々を保護するアンデイエ・アイサトゥ・マセク・エンジアイUNHCRルワンダ代表
2.背景:コンゴ民主共和国の背景/歴史 どんな国?
かつて「ザイール」として知られていた、日本の約6倍の面積を有するこのアフリカ中部の国は、1997年に国名をコンゴ民主共和国(Democratic Republic of Congo)に改名。新たな出発を果たしますが、当初より紛争や対立が絶えず、特に情勢が不安定な東部では、2024年上半期だけで94万人以上が避難を余儀なくされていました。また、2024年8月には急性発疹性疾患であるエムポックス(MPOX)が発生しています。
加えて、スマートフォンやPC等に使われるレアメタルの1つであるコバルト等、鉱物が豊富な地で、こういった鉱物の産出権等を巡る争いも絶えず、また、児童労働や性暴力が大きな問題となっています。
コンゴ民主共和国は今回の戦闘激化以前から2100万人以上が人道支援を必要とし、国内避難民約670万人を抱え、難民/庇護希望者約110万人がウガンダ、タンザニア等の国外に逃れているのみならず、情勢不安が続くブルンジ、中央アフリカ等から難民約52万人以上を受け入れる、アフリカ最大の避難危機に直面しています。しかし「忘れられた危機」として世界から注目を集めることはなく、避難を強いられる人々を保護/援助するための資金は恒常的に不足しています。
3.被害:戦闘地の状況
今回の激しい爆撃や破壊行為により、1月25~30日ゴマ/ニーラゴンゴだけで2900人以上が死亡、3000人以上が負傷したことが国連機関により発表されています。(2月12日現在)しかし、路上には死体が散乱し、病院の死体安置所は飽和状態で、正確な被害者数を確認するのは困難、との報告もあります。
M23を含む武装集団の政治/軍事連合が、2月4日から一方的な「人道的停戦」を宣言しましたが、散発的な争いや犯罪行為は続いている他、2月5日にはNGO従事者3人が殺害されました。国内避難民サイトの破壊と解体は続いており、人道的状況は依然として著しく不安定です。ゴマでは治安のみならずインフラも非常に不安定で、食料/水不足、生活必需品の価格の高騰等も人々の生活を苦しめています。
さらに、インフラへの甚大な被害により、今回の戦闘に巻き込まれた多くの患者を受け入れる病院は圧迫されており、エムポックス(MPOX)やエボラ出血熱、コレラといった感染症への警告も国連機関により宣言されています。また、被害地に残された兵士等による性暴力がさらに悪化する恐れもあります。
4.援助:UNHCRは何をしている?
UNHCRは、ルワンダ、ウガンダ、タンザニア、ブルンジ、ザンビアといった、避難者が押し寄せることが危惧される周辺国で国境を越える動きへの備え/モニタリングを強化。各国政府やパートナー団体と協力し、緊急時対応計画の見直し、緊急物資の手配等が進められています。また、コンゴ民主共和国東部でも、1月31日から北キヴ州で保護活動を再開していますが、状況は著しく悪化しており、また、今後も避難者はさらに増加することが懸念されています。
コンゴ民主共和国国内では、道路の閉鎖、無差別な攻撃により、緊急のニーズに対応するための人道的アクセスは著しく制限されており、救援活動の一時的な中断を余儀なくされている地域もあります。しかし、UNHCRはすべての当事者に対し、民間人(特に女性と子ども)の保護を優先した上、国内避難民サイトの安全を尊重し、民間人が暮らす環境における爆発物や重火器の使用をやめるよう求め、援助活動を続行する手配を進めています。
※3月7日避難者数等、一部更新しています
アフリカ「忘れられた難民危機」
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